店主より
ご愛用者様 各位
STリラックスの靴底割れについて
「大事に仕舞って置いた靴を、久し振りに履いて出掛けたら、出先で靴底(ソール)が割れて、大変な思いをした。一体この靴はどうなってるんだ」
このようなご苦情を、しばしばいただきます。
申し訳ない気持ちでいっぱいなのですが、靴底に使われている「ポリウレタン」という素材の性質上、時間の経過とともに往々にして起こりうる事態なので、改めて取り扱いの方法などを申し上げ、ご理解をいただきたいと思います。
STリラックスは、コンフォートシューズあるいはウォーキングシューズとして開発した靴であり、とにかく沢山履いて歩いていただくことを最大の目標として作られている靴です。
発売以来25年になりますが、長く歩いても疲れにくい健康のための靴として、多くのお客様の支持をいただいてきました。
この靴の良さは、一つには、靴の構造・組み立て方によるものであり、二つ目には、ポリウレタンpolyurethaneという靴底の材料の特質にあります。
ポリウレタンには、下記のような長所と短所があります。
<ポリウレタンソールの長所>
- クッション性があり、硬い地面からの衝撃を和らげる。
- 柔軟性・屈曲性に優れ、足になじみやすい。
- 耐摩耗性や耐油性に優れている。
- 比較的に滑りにくい。(濡れたPタイルなどの床)
- 導電性があり、身体に静電気を貯めない。
<ポリウレタンソールの短所>
加水分解などの化学変化によって、製造直後から、経時劣化が進行し、やがてソール割れが発生する。世間一般のスニーカーやビジネスシューズでは、2~3年後から劣化が表面化する、とされています。
STリラックスの靴底割れは、この短所から発生するものです。
当社の場合、STリラックスは、発売以来25年になりますが、この間に当社で扱ってきた、底割れによる苦情や修理の事例は、ほとんどがお買い上げ後6~7年以上となっております。
底割れ修理として回されてきた靴を調べますと、靴底がすり減って割れ目が出てきたという例は、ごく少数です。仕舞って置いて、ほとんど履かなかった、履く回数が非常に少なかったと思われる靴がほとんどです。
もっと履いていただいていれば、もう少し長持ちしたのではないかというのが、修理に出していただいた靴を調べてみた上での統計上の結論です。
私自身、10足程を10年以上も履きまわしておりますが、1足割れたのがありました。
その靴は踵(ヒール)修理を1度行い、その後散々履きつぶして底に穴が開くほどになっておりました。底が割れた時点では、製造から10年以上も過ぎていました。
ほとんどの靴は、踵部分が先に減るので、踵修理を1~2回ぐらいしてから、最後にソールの張替えに進むというのが、修理の場合の普通の順序です。
ポリウレタンのソールは、一般には3年位で劣化が表面化すると言われておりますが、STリラックスの場合は、とにかく履いていただきさえすれば、6~7年以上持つことは実績上明らかです。
どうぞたくさん履いていただいて、健康のために歩いていただくことを願っています。
靴は履けば履くほど履き心地は良くなりますから、捨てるべきではありません。
とにかく修理に出していただきたいと思います。
そして普段の使い方につきましては、次の様な点に注意していただければ、良いと思います。
- 濡れたままにしないこと
- 汚れたままにしないこと
- 仕舞い込まないこと
- 時々インソールを取り外して、インソールと靴の内部を乾かし、汚れを取ること
- どんなに傷がついても、破れても、穴が開いても、必ず直せるので、決して捨てないこと。
私どもはこの靴を開発した時、6~7年も経ってからの底割れ修理は想定していませんでした。
ウォーキングシューズとして開発しましたから、1日5,000歩とか10000歩とかを、毎日続けていれば、2年もしないうちに、靴底がすり減って、取り換えざるを得ないと思っていました。
海外旅行に履いていかれた方、ヨーロッパの街路の硬い石畳の上を歩かれたお客さん方には、随分喜んでもらいました。
立ち作業で一日中動き回るお仕事の方にも喜んでいただきました。
ですから、あまり履かない状態での底割れは全く念頭にありませんでした。
履いても履かなくても、いずれは劣化により靴底は割れます。履かなければ損です。
しかも履けば、寿命は延びます。
靴の上半分の革の部分は、丈夫ですから、靴底を取り換えれば、15年でも20年でも履き続けることが出来ます。
とにかく履いて履きつぶして、修理してさらに履いていただきますよう、お願いいたします。
令和6年8月18日
タフサポート代表 丹羽 達哉